「マジかよ」 ユーリは、ベッドの上にひっくり返って、熱い息を吐いた。 身体の反応がいまいち悪いとか、少し怠いような気がするとか、息が上がるのが早いとか、些細な身体の異常を感じ取ってはいた。だから、まだ陽が高いにもかかわらず、旅人のために用意された小屋を見付けた時には助かったと思ったし、素直に休息を取ることを決めもした。だが、自分の身体がここまで限界に達していたとは思ってもいなかった。 何か食べた方が良いんだろうが―――― 鈍い思考回路でのろのろと考えるが、小屋に入るまでは持っていたはずの荷物が近くに見当たらない。 俺、いつの間に……。一体どこに置いたんだったか。 そうだ、鍵掛けたっけ。今襲われたら――――。 取り留めもなく考えるが、不安を不安と受け取る余裕もないまま、ユーリは強い眠気に意識を手放した。 「ひどい熱だ」 「――――ああ、ちょっと」 「ちょっとじゃないだろ」 本当にこれは夢なのだろうか。ユーリはどれだけ正確に彼を記憶しているのか。少しの違和感も覚えないフレンの様子に、笑ってしまいそうになる。 「だから、一人旅は危険だと言ったんだ。ラピードが知らせてくれなかったら、どうなっていたと思うんだ?」 病人相手でも小言かよ。余計に悪くなっちまうだろ。 胸の内で毒づきながらも、こんなところもフレンらしいと感じる。 「フレンは――――俺がいなくなると思うと、生きた心地がしないのか?」 フレンの喉仏が、ゆっくりと上下する。フレンも、恐らくユーリと同じ理由でひどく緊張している。 「君は――――君だったら」 「俺がフレンを失ったらってことか?」 コクと頷くフレンの顔に見入る。 昔ほど近い距離にいるわけではないが、フレンはいて当たり前の存在で、いなくなるという状況を想像したことがなかった。どんな困難な局面でも、必ず再び会えることを、ユーリは疑ったことがなかった。 「想像……付かねえ」 「それは、君にとって大した問題じゃないってこと?」 「そんなわけない」 「じゃあ、重要な存在だってこと?」 |